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グリースの基礎知識を知ろう!グリースは何からできているのか
2022年08月26日
車には、さまざまなオイルが使われています。
グリースもオイルの一種ですが、液体ではなく半固体状の潤滑剤です。
グリースとはいったい何か、その基礎的な部分から組成などについてまとめます。
グリースとは何か
日本の産業製品の規格の一つとして「JIS」があります。
グリースとは何かという定義について、JISには以下のように定義されています。
「原料基油に増ちょう剤を分散させて半固体または固体化したもの。
特殊な性質を与える他の成分が含まれる場合もある。」
つまりグリースとは、基となる原料基材であるオイルに増ちょう剤や添加物を混ぜ合わせて作られた半固体状の潤滑剤です。
潤滑油とグリースの違い
グリースは潤滑剤ですが、潤滑油とは異なります。
どちらも摩擦を二つ以上の部品を動かす際の摩擦抵抗を減らし、なめらかに動かすために必要な潤滑剤です。
ですが、グリースは粘度が高く半固体状の物質であるのに対し、潤滑油は液状です。
高速で動く場所に常に注油しながら使用する潤滑油に対し、グリースは低速で荷重がかかる部分に使います。
グリースは流動性が低いため、密封し使うのが一般的です。
スプロケットやチェーンの潤滑剤としては潤滑油を使い、ベアリングやブッシュの場合はグリースを使います。
原料基油とは
グリースの組成の中で基となるオイルが「原料基油」です。
基油には鉱油と合成油の二種類に分けられます。
グリースの主成分で、潤滑性や耐熱性などに大きく影響します。
鉱油とは
鉱油は原油から作られるオイルです。
天然素材から作られるため傷んでしまう成分がでてきます。
このため、安定性に欠ける部分があります。
合成油とは
合成油は文字通り、人工的に素材を組み合わせて作られるオイルです。
傷みやすい成分を取り除いて作ることも可能です。
安定性が高く鉱油では対応できない部分でも利用できるオイルです。
増ちょう剤とは
基油はオイルなのでそのままでは液状です。
この液状の基油を半固体化させるために添加するのが増ちょう剤です。
基油の中に微粒子の状態で分散して含まれることで、液状の基油が半固体状へと変わります。
種類としては、石けん系と非石けん系の二つに大きく分けられます。
さらに、石けん系は金属石けん系と複合型に分けられます。
金属石けん系増ちょう剤
石けん系という名前が付いていますが、手洗に使う石けんとは異なります。
カルシウム石けん系と呼ばれる増ちょう剤は、鉱油と牛脂系脂肪酸、消石灰(水酸化カルシウム)と水を加え、さらに水分調整して精製し作られます。
成分として水分が含まれるため、80度以上になると水分分離が始まり構造が破壊されてしまいます。
牛脂系脂肪酸ではなく、ひまし油系脂肪酸を使うと、水分を含ませずにカルシウム石けん系グリースが精製できます。
この場合100度までは耐えられます。
リチウム石けん系の場合は消石灰と水ではなくステアリン酸リチウムを加えます。
リチウム石けん系グリースは万能グリースともいわれ、欠点が少ないとされます。
カルシウム石けん系にくらべ耐熱性が優れ、130度まで耐えられます。
耐水性やせん断安定性にも優れています。
複合石けん系増ちょう剤
耐熱性が高いリチウム石けん系グリースでも、130度以上では耐えられません。
この欠点を補うために開発されたのが、複合石けん系と呼ばれる増ちょう剤です。
脂肪酸と有機酸を組み合わせたもので、コンプレックスともいいます。
200度以上に耐えられるとされていますが、最高使用可能温度は150度です。
アルミニウムコンプレックスグリースは、耐水性やせん断安定性が非常に優れます。
リチウムコンプレックスグリースは、リチウム石けんグリースを改良したものです。
万能グリースであるリチウム石けんグリースの良さはそのままに、耐熱性が向上しています。
非石けん系増ちょう剤
石けん系は複合石けん系でも150度までが使用可能温度の限界です。
この欠点を補うために開発されたのが、非石けん系の増ちょう剤です。
ウレア基を二個以上有している有機化合物を使うウレア増ちょう剤は耐熱性が180度と高く、中でも芳香族ジウレアは耐水性もせん断安定性も非常に優れています。
有機系のPTFE(テフロン)もまた耐水性もせん断安定性も非常に優れ、さらに耐熱性は250度です。
無機系にはベントナイトやシリカゲルなどがありますが、耐熱性は200度と高いものの、耐水性やせん断安定性が劣る部分があります。
グリースの硬さ
増ちょう剤が多く含まれると、それだけグリースは固化します。
どの位グリースが固化しているかを表すときには「ちょう度」という値を使用します。
ちょう度は「000」から「6」までの9段階のちょう度番号(グレードNo.)で表します。
ちょう度番号「000」は増ちょう剤が含まれる量が少なく、軟らかい状態となります。
一方ちょう度番号「6」は、増ちょう剤が多く含まれるため硬く「固体」の状態となります。
ちょう度番号1や2のちょう度のグリースが市場では一般的です。
0または3のグリースはまれに見かけることがある程度で、それ以外はほとんど見かけることはないでしょう。
まとめ
グリースは潤滑剤の一つですが、潤滑油とは異なり半固体状の物質です。
ベアリングやブッシュなど密封できる箇所に使われます。
基油や増ちょう剤の種類によって特徴が異なるため、使用箇所に適したグリース選びが必要となります。。