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トラックのセルモーターが回らないときの対処方法は?

2022年08月24日

トラックの故障の一つに、セルモーターが回らないためエンジンが掛からないというものがあります。
ガソリンエンジンの始動には、最初の軸回転を与えるためのアシストを必要とし、現代の多くのガソリン自動車ではセルモーターがその役割を担います。

そのため、セルモーターが故障するとエンジンが掛からないのです。

今回は、トラックのセルモーターの仕組みとトラブルのときに想定される原因および対処方法について解説します。

セルモーターは日常の点検ではなかなか意識して見ることのない部品ですので、記事を読んでいただき、この機会にエンジンルーム内での位置を確認し、トラブルのときに慌てないようにしましょう。

トラックのセルモーターが回らないときの対処方法は?

セルモーターとは?

そもそもセルモーターとは、どういった部品でしょうか。

エンジンの始動をアシストする

セルモーターは二つの円筒のパーツが親子のように連結した構造をしています。
車のキーを回すことで、セルモーターへバッテリーから電力が供給され、マグネットスイッチと呼ばれるスイッチが入ります。

スイッチが入るとセルモーター内のピニオンギアが飛び出し、モーターの力でフライホイールを回します。
フライホイールが回ることでクランクシャフトが回り、エンジンが始動する仕組みです。

自動車の黎明期は、これを手持ちのクランクハンドルを使用し人力で行っていました。
その作業をバッテリーの電気によって自動化したものがセルモーターであるといえます。

車載バッテリーで駆動する

セルモーターを作動させるためには、バッテリーからの電力供給が必要ですので、バッテリーが上がってしまうと作動しません。
マグネットスイッチがONになると、カタカタした打撃音が聞こえるだけです。
この症状が出たら、まずはバッテリー上がりを疑いましょう。

メーカーによる呼称の違い

セルモーターは一般名称であり、実は自動車メーカーによって呼び名が違います。
下記にメーカーごとの呼称を整理しましたので、部品修理のとき戸惑わないようご注意ください。

トヨタ・日野・ダイハツ・三菱:スタータ
いすゞ・マツダ:スターター
SUBARU:スタータモータ
日産・本田:スターターモーター
スズキ:スターティングモータ

EV車にはセルモーターが不要

EV車(電気自動車)は電気モーターで駆動します。
そもそもガソリンエンジンがないため、セルモーターを必要としません。

セルモーターが回らない原因は?

それでは、セルモーターが回らない原因として考えられるものは何でしょうか。

バッテリーの電圧不足

エンジンが掛からず、セルモーターの故障を疑いますが、実際にはバッテリーが弱っているだけということが非常に多いです。
電圧テスターがあればバッテリー電圧が12V(24V)以上あるかを、まずは確認しましょう。

電圧不足の場合は、他の車のバッテリーとブースターケーブルでつないでジャンプスタートします。
市販のジャンプスターターやカーバッテリー用の充電器があれば、単独でも再始動ができます。

救援車も無く、ジャンプスターターも持っていない場合はロードサービスに救援を依頼しましょう。

モーターの故障

モーター内のパーツ劣化で破損や部品の脱落をしている場合があります。
エンジンが始動している状態でキーを回し続けると、セルモーターの故障の原因となるので要注意です。

パーツの固着でセルが回らない

セルモーター内のパーツの固着のせいでセルが回らなくなっている場合もあります。
その場合は、固着を引き離すために軽い打撃を加えるだけであっさり直るケースがあります。

セルモーターを修理する方法は?

それでは、セルモーターの修理方法について説明します。

緊急時に駆動させる方法

出先で停車時にエンジンが止まり始動しない場合、まずはバッテリートラブルを疑います。
バッテリーに問題がない場合は、セルモーターの内部固着が原因である可能性があります。
セルモーターのケースを棒などで叩き、それからキーを回すと固着状態から回復し再始動する可能性がありますので試してみましょう。

応急手当で動いても必ず整備工場で修理を!

再始動したとしても、再度エンジンを停止させた場合、再びセルモーターが動く保証はありませんので、そのまま修理工場へ持ち込むのが賢明でしょう。

ロードサービスに依頼する

どうしてもエンジンが再始動しない場合は、ロードサービスへ依頼し修理工場へ牽引してもらいましょう。

まとめ

ここまで、セルモーターの役割と構造からトラブル時の考えられる原因と対策方法について解説しました。
トラックのエンジンルーム内でのセルモーターの位置を確認しておけば、人気のない遠方でエンジンが停止するなどの緊急時に、応急で再始動させられる可能性もあります。

正しい知識を持ち、日常の点検からセルモーターをチェックするようにしましょう。

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